2012.01.30

ひとことで言うと：自宅で食べる病院食

ダイエットガイド　河口哲也

体脂肪計の販売シェア日本一の株式会社タニタの社員食堂にて提供されている料理に関するレシピ集。ごはん、汁物、副菜２品、メインの合計５品で１食を基本として、１食あたりおよそ500kcalになるように計算されています。考え方としては、昼食で700kcal食べていた人が500kcalの料理にすることで、総摂取カロリーを1日あたり200kcal減らそうというもの。体脂肪1kgが持つ熱量はおよそ7200kcalなので、計算上は1ヶ月で6200kcal（200kcal×31日）のマイナスとなり、約１kg体重を減らすことを目指します。

タニタ食堂（体脂肪計タニタの社員食堂）がダイエット目的の人々に人気だと聞いたときは、正直「なんでやねん？？」と一人つっこみを入れてしまいましたが、よくよく考えるとそれだけダイエットの迷宮に迷い込んでいる人が多いんだなぁ～としんみり。

購入された方はお分かりになると思いますが、何の変哲もない家庭料理レシピ集で、目的を告げずに彼氏や夫に出したらきっと塩や醤油をかけられてしまうであろうかなりの薄味です。体重管理が必要な患者に出される病院食がまさにこんな感じ。カロリーと塩分量にシーリングをかけて、栄養士が料理をつくれば、どの栄養士さんが作っても似たような料理になることでしょう。

それではなぜこんな普通のレシピ集がダイエット目的の人に売れるのか？ひとえに体脂肪計販売シェア１位の「タニタ」の看板の威力としか言いようがありません。もちろん健康料理のレシピ集としての評価であれば秀逸ですが、ダイエットという視点で見れば、タニタの皆様には申し訳ありませんが（学会とかでいぢめないでね）ダイエットの方法論としては伝統的なカロリー制限の域をこえないので評価のしようがありません（そもそもダイエット本ではありませんよね？タニタさん…）。

ただ、最近では「ピザにオリーブオイルをかければ太らない」とか「ラーメンを食べる前に野菜ジュースを飲め」などというあまりにもいい加減なことを平気でいう栄養士さんも増えてきましたから、タニタ食堂のような（栄養士的に）正統派のヘルシー料理レシピ集が世の中に流通するのは、そういう栄養士が社会を惑わさないためにはあるべき姿だと思います。

また、これを期に、肥満症の治療を行っている日本中の病院から「○○病院のご自慢レシピ」みたいなレシピ集がどんどん出てくるようになれば、ダイエット業界もある意味原点回帰してリフレッシュされありがたいのですが。

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