2009.7.4

ひとことで言うと：油飲みダイエット

ダイエットガイド　河口哲也

毎日、100～400kcalの砂糖水と食用油（両者または片方）を摂取するとセットポイントが下がるとするダイエット法です。

セットポイントとは、その人が本来自然にもっているあるべき体重のこと。

そして、ダイエットをして痩せようが、一時的に食べすぎて太ろうが結局すべての人はある決められた体重（セットポイント）に戻ってしまうという仮説をセットポイント仮説と言います。

例えば、ある人の体重が55kgだったとします。その人がダイエットを行い49kgになったとしても、そのあとしばらくするとその人は55kgまでリバウンドしたとします。またある時、同じ人が長期旅行に出かけ60kgの体重まで太ったにも関わらず、普段の生活に戻るとまたもとの55kgになったとします。

このような場合、セットポイント仮説では、55kgをその人のセットポイントとし、それから痩せても太っても最終的にはセットポイント（55kg）に戻ると考えます。

つまり、セットポイント仮説では、このセットポイントが変わらない限り、セットポイント以外の体重を狙うダイエットは長期的には成功しないことになります。

シャングリラダイエットでは、セットポイント仮説が正しいという立場をとった上で、いくつかのルールを守ることにより、このセットポイントを下げることができる、すなわち自然に痩せことができると主張します。

シャングリラダイエット実践のための主なルールは次の3つです。

【ルール１】毎日、100～400kcalの砂糖水と食用油（両者または片方）を摂取する

オイルは、エクストラライト・オリーブオイルやサフラワーオイル、キャノーラオイルなど味や風味が少ないオイルならどのようなオイルと使ってもかまいません。

量の目安としては、落としたい体重が9kg以下ならば1日あたり大さじ1杯の砂糖を溶かした砂糖水に加え同じく大さじ1杯のオイル（総カロリー165kcal）を摂取します。

落としたい体重が9～18kgならば1日あたり大さじ2杯の砂糖を溶かした砂糖水に加え同じく大さじ2杯のオイル（総カロリー330kcal）を摂取します。

落としたい体重が18kg以上ならば1日あたり大さじ3杯の砂糖を溶かした砂糖水に加え大さじ2杯のオイル（総カロリー375kcal）を摂取します。

オイルと砂糖水はどちらか一方のみを飲んでもかまいません。その場合は飲むオイルまたは砂糖水の量を増やします。

【ルール２】砂糖水には砂糖以外の味をつけてはならない

砂糖水を作る際には、例えばレモン汁を加えたり、人工甘味料を加えたりなどと味を調えてはなりません。あくまでも水と砂糖のみ。ただし、砂糖の代わりに果糖などカロリー（エネルギー）がある糖を使うことは認められています。スクラロース、アスパルテーム、アセサルフェームＫ、ステビアなどの人工甘味料はカロリーが極端に少ないのでＮＧ。

【ルール３】食前もしくは食後できるだけ時間をあけて（少なくとも１時間以上）砂糖水やオイルを摂取する。

砂糖水やオイルを飲んだ前後合わせて2時間は、水以外口にしてはなりません。歯磨き粉を使った歯磨きもＮＧ。

発案者のセス・ロバーツ博士はもともと心理学が専門なので、プラシーボ効果に主軸を置いた上でこのダイエット法を提唱されているとすれば、かなり手の込んだ秀作ダイエット法だと思います。

ただし、セットポイント仮説自体仮説の域を超えていませんし、さらにそれに様々な仮説つなぎ合わせてわずかな成功例を持って立証したとするあたりは、多くの専門家からは首を傾げられることでしょう。

プラシーボ効果も含め、美味しくない食品を食べることで食事と娯楽が切り離されることにより起こる食欲不振も含めば、このダイエット法で実際にやせる人がいることは容易に想像がつきます。

そういう点で、痩せる人と、全く効果がない人がはっきりと分かれるダイエット法であると思われます。

シャングリラダイエットの成功と失敗の分岐点は砂糖水やオイルを飲んで食欲がなくなるかどうかにかかっています。

シャングリラダイエットを始めて１ヵ月以上たっても効果がでないようであれば、その人には向いていませんので別のダイエット法に変えることをおすすめします。

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