一生太らない体をつくる 噛むだけダイエット(東京書店)/渡辺信幸著
評価:★★★★☆
著者の渡辺先生は、内科医として減量指導を実践する中で、当初は医学の常識であるカロリー制限と軽い運動を患者にすすめていましたが、現実的な問題として十分な指導効果が得られませんでした。
渡辺先生いわく、「脂がのったステーキが大好きな人にステーキを控えろというのも、外反母趾(がいはんぼし)などで、足が痛い人に運動しろというのも、そもそもが無理な注文」だからです。
そこで患者の立場に立ち、減量効果と実行性のバランスを考えた結果、減量指導のポイントを二つに絞り込みました。
その一つは「ひとくち食べたら箸を置いて、30回噛んでからのみこむこと」、そしてもう一つは「毎日体重を測定すること」です。噛むだけダイエットの基本はこの二つだけ。
ただ、渡辺先生も認めていますが、この30回噛むダイエット法は咀嚼(そしゃく)法といって、ある意味伝統的なダイエット法なので、オリジナリティはありません。
しかし、現役の医師が、現場指導の中で得た経験からダイエットのための行動規範を絞り込んだ結果そうなったという点では、貴重な意見だと思います。
その他補足として、肉食をすすめている点も興味をひかれます。
おすすめは肉と卵とチーズの常食。目安としては毎日、肉200g、卵3個、チーズ120gを食べる。これらを食べることでたんぱく質が豊富に摂れ、無意識に体を動かしたくなる「特異動的作用」がおこるとのこと。
一方、ご飯、パン、麺類など炭水化物を多く含む食品は食べないようにします。要するに、肉中心の低炭水化物ダイエットが食生活としてはおすすめとのことです。
さらに特徴的なのが、野菜(繊維質)をムリに食べることをすすめていないことです。むしろ、野菜の食べすぎが、便秘や痔の原因になることもあるので、食べ過ぎへの警鐘が鳴らされています。
噛むだけダイエットの結論をざっくりと言えば上記のようになりますが、なぜそのような結論に至ったかという経緯を知るためにもぜひ書籍をチェックしてみてください。