■■ 韓国式生玄米ダイエットのダイエットガイド的解釈 ■■ (執筆:河口哲也)
かつて、機能性食品の研究開発を行っている友人に、ある植物の葉のをダイエット食品として製品化できないだろうかという相談を受けました。あえて植物名はあげませんが、街路樹などでも見かけるわりと一般的な植物です。彼によると、その葉の抽出物には、アミラーゼ(でんぷんを分解する酵素)の活性阻害(糖質の吸収がされにくくなるということ)があり、それを摂取することで、摂取カロリーを抑制できるのではないか?ということでした。
私の返答は、ふだん人間が食べない植物は、植物の防衛機能として、酵素の活性阻害を含めた何らかの毒素や極端な難消化性の物質を含んでいて、それを食べた時のエネルギー収支がマイナスになるようになっているはず(食べても身にならないということ)。逆に言うと、だからそれらを私たちは食べ物とは解釈しない。同時に、エネルギー収支がマイナスになるわけだから、それら植物はすべてダイエット食品になりえる。街路樹に限らず、芝生だろうが、野花だろうが食べ続けたらみんな痩せることは間違いないだろう。問題は、それらを食べ続けた時の、健康被害に関するリスク管理が難しいこと。特にダイエット食品は人気が出ると、拒食症のような女の子も手にするので、薬理効果が(生理的に影響が)強い物質が含まれていると病人や死人がでることもありえる。・・・云々・・・。
韓国式生玄米ダイエットを知った時に、思わず思い出したのが上記のエピソードでした。私の言わんとするところは、加熱しない生玄米は、はたして食べ物(常食が可能)なのか?ということです。
一方で、「過剰に品種改良をされた米の代替食品として、生米を使うというのは妙案!」というどちらかといえポジティブな生玄米ダイエットに対する感想も私は持っています。
15年以上前から、私は日本の米の品種改良は、米を主食と定義づけるなら、方向性を完全に間違っていると主張し続けています。
米の品種改良は主に各県に存在する農業試験場で行われています。そこで、何をやっているのかといえば、年に3回から4回、米を試験農場で栽培して、目的の特徴を持つ種もみを選抜していくという作業を繰り返します。
問題は、選抜するにあたっての目的(基準)ですが、病害虫に強い、強風に強い、収量が多い、収穫時期を変えることができる、なども当然考慮されますが、この40年間で最も注意が払われているのは食味、つまり美味い米をつくることです。
美味い米をつくることは、一見なんの問題もないようですが、そのために行われてきたのが、いかに米の糖質を増やすか、別の言い方をすれば、いかにタンパク質を減らすかということです。糖質が増え、タンパク質が減れば、甘みが増し、美味い米になるからです。
現在主食用として流通している美味しいといわれる部類のお米は、タンパク質が極限まで減らされ6パーセント程度しか含まれていません。つまり、白米はもはや糖質の塊になってしまい、主食というより機能的にはデザート(嗜好品)の部類になってしまったと私は思っています。
そんな中、ダイエットガイドとしては、嗜好品になってしまったお米の代替食品について考え続けてきましたが、玄米や発芽玄米ではダイエット系食品としては弱めだし、雑穀類ではかえってコストが高くなったり、取扱いが難しい点に頭を悩ませていました。
そこで、登場したのが韓国式生玄米ダイエット。玄米を生で食べるというのは、禁じ手ではありますが、嗜好品になってしまった米に対するアンチテーゼとして、ある種、魅力的な響きを持っています。コストも安いし、消化性が悪いのは周知の事実、玄米なら白米に比べてタンパク質も多いし、長期保存も可能で、持ち運びも便利、成分についても調べつくされている、、、という利点が多々あるからです。
ただ、現段階では発案者に栄養学的な知識が不足しているため、全体としてもう少しブラッシュアップしなければ、このダイエット法が人気を出すのは難しいでしょう。
最後に、比嘉君の文章では細かすぎて何をやればよいのかわかりにくいので、何事にもざっくりな私の生玄米ダイエットの解釈(実践方法)を補足として加えておきます。
~韓国式生玄米ダイエットの実践~
○1日3食のうち夕食は自由。朝食と昼食は規定食(決められた食事)にする。
○朝食(朝の規定食)は、皮ごと食べられる果物2種類以上と薄皮つきの生ナッツ2種類以上。共に味付けや加熱調理はしない。(※皮ごと食べることができる果物といえば、通常はリンゴや一部のブドウ、かんきつ類がイメージされますが、韓国式生玄米ダイエットにおいては、キウイや桃、ビワ、イチジクなどあまり皮を食べることになじみがない果物も、皮ごと食べられる果物と解釈し、強引に皮ごと食べます)
○昼食(昼の規定食)は、小松菜やレタスなどの緑色の葉野菜を生で7枚程度を味付けなしで食べる。加えて、薄皮つきの生ナッツ2種類以上と生玄米100g(大さじ7杯程度)を食べる。(※生玄米とは、いわゆる粒状になっている茶色い玄米。それをそのまま少量づつをカリカリと食べます)
以上。
注意:文末に書籍の紹介があるダイエット法は、著者等に配慮し、あえてダイエット法の一部のみ、または独自の解釈によりその内容を紹介しております。すなわち、このサイトで得られる情報は、そのダイエット法を正確に反映しておらず、そのダイエット法の雰囲気のみの紹介になります。ダイエット法に対する正確な情報を得るためには、必ず書店等で原書をご購入の上ご確認いただきますようお願いいたします。なお、河口哲也執筆のダイエットガイド的解釈および評価・寸評に関しましては、ダイエットガイド河口哲也の独自の意見ですので、著者等への配慮はございません。