■■Q脳ダイエットのダイエットガイド的解釈■■(執筆:河口哲也)
「痩せたい、でも食べたい…」ダイエット中によくありがちな葛藤です。Q脳ダイエットは、この葛藤の解決策として、栄養学や心理学的なアプローチではなく、脳科学的な切り口から解決策を模索しているという特徴があります。
そもそも「痩せたい」といメッセージと「食べたい」という一見矛盾するメッセージがどうして同時に同じ脳から発信されるのか?
それを説明するために、内山先生は脳を「Q脳」と「S脳」に分けました。
Q脳とは、呼吸や食欲、睡眠欲などの基本的な欲求を司る脳部位で、具体的には脳幹と小脳と大脳の一部である大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)を指します。基本的な欲求を司っているわけですから「食べたい」というメッセージはこのQ脳から発せられているわけです。
一方S脳とは、思考や記憶、知覚などの高度な活動を行っている脳部位で、具体的には脳の表皮である大脳皮質のことを指しています。そして「痩せたい」という気持ちは、美しくなりたい、健康になりたい、人に褒められたいなどといった複雑で高度な感情の帰結であるため、このS脳により発せられているわけです。
結局のところ「痩せたい、でも食べたい…」という葛藤は、Q脳とS脳との間のせめぎ合いということです。
Q脳ダイエットは、このQ脳とS脳のせめぎ合いによるストレスを減らすことで、ダイエットを成功させようと試みます。その方法は「食べたい」というメッセージを発信するQ脳をうまくコントロールする、言い方を変えればQ脳を上手にダマすことがポイントになっています。
そのために、Q脳ダイエットでは三段階を踏んでダイエットを実践します。
第一段階は、Q脳を落ち着かせるために、Q脳が求める三大栄養素「炭水化物(糖質)」「脂質」「たんぱく質」をまんべんなく食べます。毎食で、穀物と肉類又は魚介類と野菜類をすべて食べるということです。
第二段階は、「炭水化物(糖質)」を3分の1だけ減らします。この“炭水化物3分の1”という量がミソで、Q脳が活動を活発化させないギリギリの設定になっています。もし、この段階で食事の全体量を減らしたくなければ、炭水化物を減らした分、代わりに野菜を多く食べるようにします。
最終段階では(炭水化物の3分の1を減らす習慣がついたら)、炭水化物だけではなく、脂質とタンパク質もそれぞれ3分の1ずつ減らします。ここでも、炭水化物の時と同じように、3分の1減らす(減らしすぎない)のがポイントです。この段階でも、食事の全体量を減らしたくなければ脂質とタンパク質を減らした分、野菜を食べるようにします。
結果的な話として、Q脳ダイエットが最終段階に入ると、野菜中心の食生活に変わります。
とまあ、結果だけをみれば良くあるダイエット向きの食生活ですが、やはりそれを実現するために、少しずつ(Q脳をダマしながら)食生活を変えるというアプローチにはユニークさがあります。そういうわけで、ダイエット法100選に選びました。