運動するには確保先決
~時間~
百家争鳴ダイエット学10(2005年4月7日沖縄タイムス寄稿文より改変)
ビジネスマンやビジネスウーマンにお聞きしたいが、もし給料が同じで週に1日休みが増えたらうれしいだろうか?逆に週に1日休みが減ったら?サラリーマンの1日の仕事時間はおおむね8時間から10時間だと思われるが、それが増えるか減るかでは、おそらく気分に雲泥の差があるはずだ。
例え8時間だとしても時間を拘束され何かの作業に従事させられるというのは、良くも悪くも心理的な影響力が大きい。
さて、体脂肪1キログラムはエネルギーに換算すると約7,000キロカロリーと言われる。仮にこれをウォーキングで消費すると仮定する。体重が60キログラムの女性が少し速めのウォーキングで、それをしなかった時と比べて余計に消費するエネルギーは1時間あたり約200キロカロリーである。すなわち、体脂肪1キログラムをウォーキングで消費するためには、理屈の上では7,000を200で割った35時間必要ということになる。これは8時間労働者の4日分の労働時間よりも長い。
私は肥満やダイエットを考える上で重要なキーワードの一つは”時間”ではないかと思っている。運動するにも、休憩するにも、夜食するにも、食について勉強するにもそれなりの時間が必要だからだ。同時に今のダイエットの指導者はあまりにも依頼者の時間に配慮しなさ過ぎるとも。ウォーキングで体脂肪を燃焼させよう!と言う指導者は、すなわち依頼者に膨大な時間を費やすよう要求していることを自覚しなければならない。
誤解のないように付け加えるが運動をすることは大変良いことである。それは消費エネルギーの増大以外に、体内のホルモンを正常に働かせたり、筋肉を維持・増大させてダイエット後のリバウンドを防いだり、自分自身の自分に対するイメージを高めたりと様々な好ましい効果が期待できるからである。問題は何人にも1日は24時間しかなく、時間管理を十分行なった上で運動に取り組まなければ、結局は続かない(続けられない)という結論にたどり着いてしまうということである。
運動が続かないのは自分の意思が弱いからだと思っている方によく出会う。しかし詳しく話を聞けば、意思の弱さが原因ではなく多忙なのにスポーツクラブに入会したり、ウォーキングを始めたりしたことが、真の問題である場合が少なくない。
運動を行うには、まずはそのための時間を確保することが先決である。
本日は手際よく仕事を片づけて、残業ではなくウォーキングをしようではないか!
(ダイエットガイド河口哲也)
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