「体に悪い」って本当?
百家争鳴ダイエット学4(2005年2月24日沖縄タイムス寄稿文より改変)
ファストフードを一日三食、一カ月間食べ続けると人間どうなる?そんなキャッチコピーがついたドキュメンタリー映画が話題になっている。沖縄では三月五日より那覇市の桜坂シネコン琉映で上映予定の「スーパーサイズ・ミー」(モーガン・スパーロック監督)という作品だ。
面白くなかったときの後悔が少ないように、見る前から「そんなもん太るに決まってるだろ!」と、ブツブツ文句を言いながら先行上映されている渋谷の映画館へ足を運んだ。
映画はアメリカの現状から解説する。アメリカでは約一億人が過体重か肥満(日本の基準では共に肥満)である。これは成人全体の60%にあたる驚異的な数字だ。しかもその数は八十年代以降約二倍に膨れあがっているという。
そんな中、十代の女性二人が「自分が肥満になったのは、身体に害がある商品を販売しているファストフード会社にも責任がある」として米国のマクドナルド社を相手に訴訟を起こす。裁判所は肥満になったのは本人の責任として請求を棄却。それでは私がファストフードは本当に害がないのか試してみようということで、監督自らが三十日間マクドナルド製品のみを食べ続けるという人体実験に及ぶという筋書きだ。
が、話はここでは終わらなかった。
食品会社が子供たちを取り込むために考え出した巧みな戦略、肥満者に対する偏見、テレビコマーシャルの影響力の強さとその歪み、現実の大人や子供の食に関する無知、原料が分かりにくいファストフードの問題点、食品会社と政治のかかわり、さまざまな切り口から現代人の食にまつわる問題点を浮き彫りにしてくる。
ある中学校でランチ用に盛りつけたフライドポテトを「ベジタブル!」と自慢げに見せる少女には思わず背中のあたりがゾッとした。ポテトはフライにすることでそのカロリーが五倍になる。すなわちフライドポテトの主成分は油である。
帰り道、日米対比形式でファストフードの歴史が書かれているその映画のパンフレットを見ながらまたブツブツと文句を言っていた。「日本で最初にファストフード店が登場したのは銀座や名古屋ではない。復帰前のわした島ウチナーだ…」
県民に一言言わせていただければ、この映画はぜひダマされたと思って見て欲しい。きっとあなたが日々さまざまなモノにダマされていることに気づかされるはずだからだ。
(ダイエットガイド河口哲也)
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