肥満児放置という虐待
親の責任
百家争鳴ダイエット学5(2005年3月3日沖縄タイムス寄稿文より改変)
市役所へ書類を出すついでに児童相談の窓口へ行き虐待としつけのボーダーラインについて聞いてみた。しつけか虐待かは子供がそれをどうとらえるかがポイントである、すなわち子供の視点に立った上でのケースバイケースということらしい。
話が分かるその担当官に突飛な質問をしてみた。
「子供が肥満するとそうでない子供に比べて高い確率で血圧が上昇し、肝機能も低下し結果動脈を硬化させます。子供に傷害を与えることが児童虐待であるならば、内臓や血管を痛めるほど太らせた親も児童を虐待しているのでしょうか?」
以前那覇市医師会生活習慣病健診センターの崎原医師にお話を伺ったところ、この30年間で全国の小児の肥満率は約3倍に増加しているとのことである。そのうち特に沖縄は小児の肥満率が高く、例えば10歳児を見ると全国平均の肥満率約10%に対し、那覇市の10歳児の肥満率は15%にも上るという。小児でも肥満が進むにつれて、血圧、コレステロール、中性脂肪、血清インスリン、肝機能、尿酸などの数値が悪化すると詳細なデータをもとに教えていただいた。
肥満児童に対して親の責任を問うのは一種のタブーである。主な責任は親にあるとはいえ親のみの責任ではないのも事実である。また、子供は大人に比べて遺伝的な影響を受けやすく内因的な問題も大きいからだ。
市の担当官が良いアドバイスをしてくれた。「病気の子供を医者に診せないのも医療ネグレクトと呼ばれる立派な虐待です」。肥満は状況により肥満症と呼ばれる立派な病気になる。”肥満した子供について医師に相談しない親は児童虐待の加害者である”とは言えるようだ。
(ダイエットガイド河口哲也)
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